戦後ドイツにおける「過去の克服」と極右勢力
卒業研究要旨
ドイツは戦後、ナチス期を反省するものとして、ナチスの蛮行によって被害を受けた人びとへの補償やナチス戦犯の追及などを行ってきた。「過去の克服」とはそのような諸形態を貫く道義的精神的姿勢を意味する。しかしドイツの戦後を振り返ると、「過去の克服」をめぐって複雑な心理の葛藤があったことがみえてくる。ナチスの過去を反省し、そこから教訓を学んでいかねばならないとする一方で、その忘却や歴史修正の試みがあったのも事実である。本論では戦後ドイツの「過去の克服」とそれを押し返す逆流としての極右勢力の今日までの行跡をたどり、この2つの潮流がどのように対峙してきたのかを検討する。まず第1章で「過去の克服」の具体的内容を整理する。次に第2章で戦後極右勢力の歴史を概観し、その特徴を把握する。第3章ではドイツ(旧西ドイツ)社会のさまざまな場面で表出してきた「過去の克服」に対するネガティブな心理と、それが極右勢力にどのような影響を与えたのかを分析する。そして結論として「過去の克服」のこれからを考えてみたい。
目次
序論
第1章 「過去の克服」とは何か
はじめに
(1)ナチスの不法によって被害を受けたヨーロッパ諸国の人びとに対する補償と謝罪
(2)ナチス戦犯に対する追及
(3)ナチス時代への批判と反省を深めることを目的とした国民に対する教育
「過去の克服」の「影」の部分を形成するもの
第2章 戦後ドイツの極右勢力の歴史的変遷
はじめに
(1)終戦〜1960年代末
(2)1970年代〜80年代後半
(3)1980年代後半・東西ドイツ統一以降
現在の極右現象
第3章 「第二の罪」――「過去の克服」の難しさ――
「第二の罪」――Die zweite Schuld――
「ヒトラー・ブーム」と『ホロコースト』
33票差で可決された「ナチス戦犯追及の時効廃止」
コール首相「後から生まれた者の恩恵」とヴァイツゼッカー大統領「荒れ野の40年」
歴史家論争
大衆的基盤に立っていたナチス
結論 「過去の克服」のこれから
深化する排外主義
サイバー・ナチズム
「過去の克服」のこれから
極右現象の国際的広がり
参考文献・参考新聞記事